「働き方改革」は馴染みそう?日本のライフスタイルの変革傾向について

「働き方改革」とは?

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「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立(2018年7月6日公布)し、2019年4月1日から施行されました。

この法案の成立時に、安倍首相は、70年ぶりの大改革として、長時間労働を是正、非正規という言葉を一掃し、子育て、あるいは介護をしながら働くことができるように、多様な働き方を可能にする法制度が制定されたと述べています。

働き方改革の基本的な考え方

「働き方改革」の基本的な考え方を要約すると以下のようになります。

「働き方改革」は、働く方々が、個人の事情に応じた多様で柔軟な働き方を
自分で「選択」出来るようにする
ための改革です。

日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが必要です。

働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会に実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。

「働き方改革」全体の推進として、大きく以下の2つのポイントが挙げられます。

ポイント1
「労働時間法制の見直し」

働き過ぎを防ぐことで、働く方々の健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現できるようにします。

ポイント2
「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」

同一企業内における正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても「納得」できるようにします。

今回、大きく見直された「労働時間法制」を中心に内容をみてみましょう。

見直しの内容

  • 残業時間の上限を規制します
  • 「勤務間インターバル」制度の導入を促します
  • 1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけます
  • 月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げます(25%50%
    • 中小企業で働く人にも適用(大企業は平成22年度~)
  • 労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務づけます
    • 働く人の健康管理を徹底
    • 管理職、裁量労働制適用者も対象
  • 「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充します
    • 労働時間の調整が可能な期間(清算期間)を延長(1か月→3ヶ月
    • 子育て・介護しながらでも、より働きやすく
  • 専門的な職業の方の自律的で創造的な働き方である
    「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択できるようにします

    • 前提として、働く人の健康を守る措置を義務化(罰則つき)
    • 対象を限定(一定の年収以上で特定の高度専門職のみが対象)

※ 「働き方改革」(厚生労働省)より

安倍首相が「70年ぶりの大改革」と述べているのは具体的には「残業時間の上限の規制」にあたります。
これは、1947年に制定された「労働基準法」の初めての大改革となります。

では、改正前と改正後の図で簡単にみてみましょう。

「働き方改革」の改正前と改正後で何が違うの?

現在

法律上は、残業時間の上限がありませんでした(行政指導のみ)

改正後

法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなります。

  • 残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。(月45時間は、1日当たり2時間程度の残業に相当します。)
  • 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
    年720時間以内
    複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
    月100時間未満(休日労働を含む)
    を超えることはできません。(月80時間は1日当たり4時間程度の残業に相当します。)
    また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6ヶ月までです。

そもそも長時間労働ができる仕組み自体を、法律で規制しなければ、「働き方改革」は断行できないということですね。

有給取得に罪悪感を感じる日本では、強制的に有給をとる仕組みが効果的?

前号(「これから変わっていく祝日のあり方とは」)でご紹介しましたように、日本の祝日数は世界トップでさらに有給取得できる日数も決して少ないほうではありません。ですが、有給取得率でみると世界最下位になっております。

これは、有給休暇を取得しにくい社風があることや有給休暇を取得することに罪悪感があるためと言われています。
これまでは労働者が自ら申し出をして有給休暇を取得していましたが、それを使用者(企業側)が労働者に希望を聞いたうえで、年5日の有給休暇取得時季を指定することを義務付けることによって休暇の取得率を改善する施策になります。

「ワークライフバランス」が実現しやすい?北欧の国の「働き方」とは?

スウェーデンでは、裁量労働制により、子どもを幼稚園や保育園に迎えに行くために15時には退社できることが多くなっています。在宅勤務が認められている会社も増えているようで、貸与したパソコンの起動時間から就業時間を算出するそうです。

スウェーデンなどの北欧諸国は労働組合の力が強く、戦後から長時間労働の排除を徹底してきました。
そのため、残業の概念がなく、年5週間もの有給休暇取得が法律で義務づけられています。

一般的な就業時間は週当たり40時間で、上限は48時間とされています。残業をする人は、時間内に仕事をこなせない人とみなされ、小さな子どもがいるのに残業ばかりしている人は、家庭を顧みない人とされてしまいます。

このように、「ワークライフバランス」が実現しやすい社会的背景があることを考えますと、日本はこのような国をモデルにこれから近づいていこうとしているものの、少し時間が掛かりそうですね。

AIの登場で働き方が変わる?より求められる人間らしい「働き方」とは?

最近ニュースでもよく耳にする「AI(人工知能)」。このAIにより、仕事の効率化が図られ、これまで人間が行ってきた仕事をAIプログラムやAIを搭載したロボットが代わって行うようになると言われています。

しかし、機械やプログラムが行えることは人間が行わなくてもよくなる、と考えられるのではないでしょうか。
人間が働きやすいようにAIを開発することも人間の仕事になってくるでしょう。人間がより高度でクリエイティブなスキルを身につけ、AIとうまくすみ分けをするためには、やはりこれまでの仕事から解放される時間が必要になるでしょう。

一方で、この少子化時代において、AIの登場などにより、今の子供たちが大人になる頃には、大半の子供たちは今は存在していない職業に就くと言われています。それだけに親が子育てにどのようにかかわっていくかが大切になってきます。

子育て時期に、直感や矛盾や葛藤などのプロセスを通じて意思決定して行っていく「人間らしさ」を育み、幼児期に本物の生きている生物や自然と触れて身体的感性を育てるために外部環境を整えてあげることが親にとって重要となってきます。

また親も子供と一緒に学んで体験することが「人間らしさ」の活性化につながるのではないでしょうか。

この「子育て」に男女ともに、できるだけ負担を少なくして参画することが大切といえます。
社会における女性の活躍を維持しつつ、いかに共働きの世帯にとって、負担なく育児を分担していくかは、国や自治体がいろんな施策で取り組んでいます。

共働き家庭が直面する「小1の壁」とは?
子供の放課後を考えた施策「新・放課後子ども総合プラン」

女性の活躍が現場で進まないひとつの象徴的な例として挙げられるのが「小1の壁」と言われるものです。

保育園では朝子供を預けてから夜まで同じ場所で面倒をみてもらえますが、小学生になると15時や16時には学校が終わるため早く帰宅します。また、小学校は行事が多いため、何かと準備や気を使うことが増え、多くの親が小学生に上がるタイミングで仕事との両立に不安を感じています。

そこで文部科学省と厚生労働省では、この「小1の壁」打開と待機児童の解消を目指し、2014年に「放課後子ども総合プラン」を実施してきましたが、さらに追加策として「新・放課後子ども総合プラン」(2019~2023年度の5年間)が策定されました。

具体的には、学校で放課後の遊びの場を提供する文科省の「放課後子供教室」と、厚労省が所管する「放課後児童クラブ」を一体的な実施を行っています。現在下記の目標を掲げています。

「新・放課後子ども総合プラン」に掲げる目標(2019~2023年)

  • 放課後児童クラブについて、2021年度末までに約25万人分を整備し、待機児童解消を目指し、
    その後も女性就業率の上昇を踏まえ2023年度末までに計約30万人分の受け皿を整備

    (約122万人 → 約152万人)
  • 全ての小学校区で、両事業を一体的に又は連携して実施し、
    うち小学校内で一体型として1万箇所以上で実施することを目指す
  • 両事業を新たに整備等する場合には、学校実施を徹底的に活用することとし、
    新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内で実施することを目指す。
  • 子どもの主体性を尊重し、子供の健全な育成を図る放課後児童クラブの役割を徹底し、
    子どもの自主性、社会性等のより一層の向上を図る。

※「新・放課後子ども総合プラン」(厚生労働省)より

自治体などの協力により、児童福祉だけでなく共働きの家庭の負担を軽くすることで仕事を継続しやすくする施策といえます。

男性の協力が不可欠。男性の家事・育児への参画をめぐる状況について

男性の家事・育児、育児休業に関するデータ

※ 「イクメンプロジェクト」(厚生労働省)より
http://ikumen-project.mhlw.go.jp/

徐々に家事や育児に関心をもって参画する男性も増えてきているようです。 そんな「イクメン」の取り組みを紹介しているサイトがありますので一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

また、自身の「働き方」について客観的に理解できる機会は少ないかもしれません。
下記はあなたの「働き方」について簡単にチェックすることができますので、トライしてみましょう。

共働き世帯の育児に知っておきたい「パパ・ママ育休プラス」制度

「パパ・ママ育児休業プラス」は、2010年(平成22年)にスタートした育児休業期間に関する特例の制度です。夫婦で育児休業を取る場合の休業期間の延長のことで、パパの育児参加や、育児休業取得を促すのが狙いとしています。従来より育児休業期間を2ヶ月延長でき、1歳2ヶ月まで取得可能になります。

パパ・ママ育休プラスを利用するには、次に挙げる条件を満たしていることが必要です。

  • ママとパパの両方が育児休業を取得すること
  • ママまたはパパが、お子さんの1歳の誕生日以前に育児休業を取得していること
  • 育児休業の開始予定日を、子供の1歳の誕生日以前に設定していること
  • 育児休業の開始予定日を、ママまたはパパが取得した育児休業の初日以後に設定していること

では、この制度を利用する主な3つのパターンをみてみましょう。

両親で育休3つのパターン紹介

  • パターン1

パパとママが交代で気れ目なく育休をとりたい。
→ 1歳~1歳2カ月まで取得OK

  • パターン2

パパとママが2人で一緒に、かつできるだけ長い期間にわたって育休をとりたい。
→ 同時の取得もOK

  • パターン3

祖父母が子どもの面倒を見てくれる期間は、パパママ共に働き、交代で育休をとりたい。
→ 連続していなくてもOK

再び北欧について例をみてみると、1993年にノルウェーが導入した「パパ・クオータ制度」という制度があります。これは、両親とも育休を取得することが前提で、父親が育休を取得しないと母親が育休を取得する権利を失います。育休中の給料は100%支給されるので、ノルウェーでは父親の9割が育児休暇を取得するそうです。
同様の制度はスウェーデンでも導入されていて、父親の育休取得率は約8割。このような制度があるので、スウェーデンでは、専業主婦の世帯が約2%程度と非常に少ないそうです。

日本での「パパ・ママ育休プラス」は似た制度のようですが、北欧に比べるとまだまだ検討する余地がありそうです。

いかがでしたでしょうか。今回は「働き方改革」について考えてみました。
前半は70年ぶりに改訂された「労働基準法」における「残業時間の上限の規制」を中心に学びました。

これからの時代は、AIの登場によって仕事の効率化と人間らしい働き方が問われてくる時代になってきます。現在の北欧の「働き方」(ワークライフバランス)を目指すところではありますが、高い税負担と戦後からの働き方の社会的背景があることを考えると一朝一夕にはいかないでしょう。

「働き方改革」は、国による法律の整備、企業による労働環境改善、個人の働く意識の変化の3つが伴わないと進まないことがわかります。私たちも国の労働環境に関する法整備に関心を持ち、積極的に活用しながら、理想とする仕事と生活の健全なバランスの意識を高めていきましょう。

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