上がり続ける「エンゲル係数」、その背景にある家計への影響について

「エンゲル係数」と社会背景

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昨年に「エンゲル係数」が上がり続けていることがニュースでも取り上げられましたが、日本経済の成長期と成熟期において、この数値から読み取れる傾向が変わってきたことが分かってきました。
今回は、現代の「エンゲル係数」の法則が社会背景に応じてどのような意味をもつようになってきたかをみていきたいと思います。

「エンゲル係数」をおさらいしましょう。

「エンゲル係数」とは、家計の総消費支出に占める食費の割合のことです。
19世紀のドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルが発表した論文で、所得水準が高くなるにしたがって食費の構成比が小さくなる傾向があるという、世帯の所得水準と食費の関係に一つの法則性のあることを発見しました。

  • どうやって計算するの?

エンゲル係数(%)= 食費 ÷ 消費支出 × 100エンゲル係数(%)= 食費 ÷ 消費支出 × 100

例えば、ある1ヶ月の消費支出の合計が20万円で、そのうち食費が5万円だったとすると、

5万 ÷ 20万円 × 100 = 25%

となり、この家計におけるエンゲル係数は25%となります。

※消費した総額に対しての食費の割合であり、収入のうちどれだけ食費に使ったか、ということではないということに気をつけてください。

エンゲル係数の数値が「高い」「低い」で何がわかる?

人間が生きていく上で食費はどうしても節約しきれない消費材と言えます。そのため、その他の消費を我慢して節約できたとしてもその分食費で使ったお金の割合が全体の比率として高くなる傾向になります。
つまり、「エンゲル係数」が高くなるということは、欲しいものが買えない状態なので、一般的に生活レベルが低くなっているということです。

  • エンゲル係数の推移(2人以上の世帯:1999年以前は農業世帯を除く)

エンゲル係数の推移グラフ

※データ出展 総務省統計局「家計調査報告」

経済の発展から2005年にかけて数値が下がり続けています。そこから徐々にまた上昇し、20016年は25.8%となり、バブル時代といわれる1987年の26.1%に匹敵する数値となりました。

しかし、最近のライフスタイルの変化によって「エンゲル係数が高くなった」ということが、一概に「生活レベルが低くなった」ということが言えなくなっています。
このことについては以下の要因をみてみましょう。

食費の価格が上昇

総務省の消費者物価指数によると、食品全体の価格は1.7%上昇しており、特に生鮮野菜は5%程度上昇しています。
これは、夏の台風や長雨の影響を受けて、農作物に被害が出たことが大きな要因と考えられます。

キャベツを例にここ数年の価格推移をみてみましょう。

  • キャベツの卸売価格の推移

キャベツの卸売価格の推移グラフ

※農林水産省「野菜をめぐる情勢より」

全体的な消費支出の減少

これはエンゲル係数を算出する際の分母になる消費支出の総額が少なくなったことが、食費の割合を高めたことも考えられます。

  • 実質支出の推移グラフ

実施支出の推移グラフ

※総務省「家計調査」より

社会構造の変化

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この10年で共働き世帯が10%ほど増加しています。この傾向に合わせて2006年から2016年における惣菜などの調理食品への支出が増えていることが分かります。家事の時間を節約するために、こうした惣菜を購入したり、外食をする機会が増えたということも要因として考えられます。

  • 総務省「労働力調査」グラフ 〔共働き世帯の推移:1980年~2016年〕

労働力調査グラフ

  • 中食・総菜市場の売り上げ推移(小売りベース)

労働力調査グラフ

※富士経済「中食・惣菜市場調査」より

また、高齢化によるお年寄り世帯が総菜などへの支出を増やしていることも考えられることから、世帯構造の変化も要因として上げられます。

世界のエンゲル係数はどうなってるの?

日本のエンゲル係数は世界の国々と比べてみると、どのような特徴があるかみてみましょう。

  • 主要国のエンゲル係数の推移

主要国のエンゲル係数グラフ

※OECD資料、総務省統計局「家計調査」より

先進国はリーマンショックの時期から上昇傾向になってきています。
食文化が発達している、いわゆるグルメな国の数値が高いことが分かります。
アメリカが極端に低い理由としては、国全体が豊かということもありますが、農業生産性が高い食料生産大国ということもあり、食材費が相対的に安価ということがいえると考えられます。

いかがでしたでしょうか。今回はこの数年で日本のエンゲル係数が高くなってきたことから、その要因と社会構造の変化について考えてみました。以前一般的に考えられていた「エンゲル係数が高い」=「生活レベルが低い」とは一概に言えなくなってきた背景が見えてきましたね。

この機会に、ご家庭の総支出に対する食費の割合を計算して我が家のエンゲル係数を確認してみると、生活スタイルを見直すきっかけになるかもしれません。

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